脂肪肝
肝臓に中性脂肪が蓄積した状態を脂肪肝といいます(フランス料理のフォアグラに例えられます)。
メタボリックシンドローム(メタボ)は内臓脂肪蓄積が重要視されていますが、脂肪肝はまさにメタボの肝病変です。
脂肪肝は年々増加傾向で、男性の3人に1人、女性の5人に1人は脂肪肝です。非肥満者でもなりえるので注意が必要です。
脂肪肝はアルコール性(行き過ぎた飲酒)と非アルコール性(栄養過多・肥満・糖尿病など)に大別されます。
脂肪肝であるかどうかは、腹部エコーで診断可能です。
脂肪肝のリスク
昔は、脂肪肝は肝硬変や肝臓がんへは進行しないと考えられていました(単純性脂肪肝)。
ところが最近の研究で、大量飲酒が原因でない脂肪肝でも肝炎が持続し、肝硬変、肝がんへと進行することがあることがわかってきました。
このような悪化するタイプの脂肪肝が、アルコールを飲まない人におこる場合を非アルコール性脂肪肝炎(NASH、ナッシュ)と呼び、近年の生活習慣病の増加に伴い注目されている肝臓病の一つです。
脂肪肝の約10%がナッシュであると報告されており、日本人のナッシュ患者は100万人とも推定されています。
現在のところナッシュとなる原因は不明ですが、脂肪肝の状態にナッシュ危険因子(肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、睡眠時無呼吸など)が多く該当、そして長期間持続する人ほど要注意といわれています。
ナッシュの診断は、最終的には肝生検(肝臓に針を刺して細胞を採取して顕微鏡でみて判定)が必要ですが、採血などである程度ナッシュかどうかを疑うことは可能です。
ナッシュと診断された場合は、治療として生活習慣の改善や内服薬などで、脂肪肝の改善、ナッシュ危険因子の排除などを目指します。定期的な採血、画像検査(腹部エコーなど)も必要となります。
健診などの採血で肝障害を指摘されている方、長い間脂肪肝と言われ続けている方などで、特にナッシュ危険因子に多く当てはまる場合は、一度主治医に相談されてみてください。
脂肪肝から肝臓がんの発症リスクは、お酒を多く飲む人は飲まない人の2~7倍、糖尿病のある人はそうでない人の2~7倍、採血で肝臓の数値が高い人はそうでない人の9倍、肝臓がんになりやすいことがわかっています。